技術伝承の進め方|ベテランの判断の根拠を、退職の前に残す
公開 2026-10-07
技術伝承とは、ベテランの技術者が持つ知識と、設計や工程の条件を決めるときの判断を、後任へ引き継ぐことです。製造業では、ベテランの定年退職や、再雇用の期間の終わりが近づくと、この引き継ぎが部門の課題になります。
溶接の手の動きのような技能は、マニュアルや動画に残す方法が、検索で上位に出る記事でよく紹介されています。技術部門では、設計の値や材料、工程の条件を「なぜそう決めたのか」という判断の根拠も、後任に引き継ぐ必要があります。この記事を書いている株式会社Labz.(以下、当社)の見立てでは、判断の根拠は、作業の手順を中心に書いたマニュアルには残りにくいものです。
当社は、検索で上位に出る記事に何が書かれているかを確かめました。2026年10月7日に、検索窓に入れる言葉の組を4つ使って、Google検索しました。「技術伝承」に「方法」「製造業」「課題」のどれか1つを足した3組と、「暗黙知 形式知化」の1組です。4組の検索結果の1ページ目に出た記事は、重なりを除いて28本でした。そのうち、技術伝承の課題と進め方を扱った20本を選び、本文を読めた19本を読みました。19本すべてがマニュアルに、15本が動画に触れていました。マニュアルに作業の理由まで書くよう勧める記事もありましたが、判断ごとに何を残すかの項目までは示していませんでした。次の3つは、19本のどの記事にも書かれていませんでした。
- 判断ごとに残す項目を決めて、判断の根拠を作業の手順と分けて残す方法
- 後任に伝わったかを確かめる、具体的な基準
- 退職か再雇用の終了の日から逆に数えて、残し始める時期を決める方法
また、19本とも、本文に「技術部門」「部長」「課長」という語は出てきませんでした。技術部門の部長・課長を読み手に想定した記事は、見当たりませんでした。この記事では、製造業の技術部門の部長・課長に向けて、上の箇条書きの3つを書きます。
この記事の要点を先に書きます。
- 引き継ぎの対象にするベテランと後任を決め、残し始める時期を、ベテランが会社を離れる日(退職か再雇用の終了の日)から逆に数えて決める。残す中身は、作業の手順ではなく、そのベテランが最近下した判断のうち、ほかの人では下せなかったものから選ぶ
- 判断ごとに、後任か課長が、6項目(決めたこと・比べた案・選んだ理由・前提にした条件・過去の不具合と対策・見直す点)を1枚に書く。この1枚を「判断の記録」と呼ぶ。判断の記録は、後任が次に同じ種類の判断をするときに開く場所に置く
- 伝わったかどうかは、ベテランの退職か再雇用の終了の前に、後任が同じ種類の判断を会議で根拠と一緒に説明できたかで決める。ベテランが教える時間は、部門の計画に工数として入れる
技術伝承とは|技能伝承との違い
技術伝承と技能伝承は、同じ意味で使われることも多い言葉です。この記事では、引き継ぐものの違いで、次のように分けて使います。
| 技能伝承 | 技術伝承 | |
|---|---|---|
| 引き継ぐもの | 手の動き、力の入れ方、見て見分ける勘 | 設計の基準、工程の条件、判断の根拠 |
| 製造業での例 | 溶接、手作業での仕上げ、目で見る外観の検査 | 材料や板厚の決め方、熱処理の条件の決め方、検査の合格の基準の決め方 |
| 残しやすい形 | 動画、写真つきの手順書 | 判断の記録(決めたこと・比べた案・選んだ理由・前提の条件・過去の不具合と対策・見直す点) |
| 伝わったかの確かめ方 | 後任がベテランと同じ品質で作業できるか | 後任が同じ種類の判断を、根拠と一緒に説明できるか |
言葉にしにくい知識を「暗黙知」、文書や数字で表した知識を「形式知」と呼びます。暗黙知を言葉や数字に直すことを「形式知化」と呼びます。
当社の見立てでは、技術部門の判断の根拠には、言葉にしにくい暗黙知ではなく、本人に聞けば説明できるのに書いていないだけのものが少なくありません。そのため、引き継ぎは、課長が、判断を下したベテラン本人に説明してもらう場を作り、後任か課長がその説明を判断の記録に書くことから始められます。ただし、本人も意識せずに下している判断もあります。そうした判断は、この記事の後半の手順4で、後任が同じ種類の判断を説明し、ベテランが質問するやり取りの中で見つかることがあります。
製造業で引き継ぎが課題になる背景
労働政策研究・研修機構(厚生労働省が所管する調査研究機関)は、「ものづくり産業における人材確保・定着と技能継承に関する調査」を行いました。対象は、製造業の11の業種で従業員30人以上の企業です。調査は2025年11月から12月に行われ、結果は2026年5月27日に公表されています。この調査は「技能継承」という言葉で、ものづくりに必要な技や力の引き継ぎを聞いています。調査でいう「技能継承」は、この記事の表の技能伝承より広く、トラブルに対応する力なども含みます。
回答した企業は4,342社で、そのうち技能継承が必要と考えている企業が4,262社でした。この4,262社のうち、技能継承が「うまくいっている」「ややうまくいっている」と答えた企業は、合わせて33.3%でした。同じ4,262社のうち、将来の技能継承に「不安がある」「やや不安がある」と答えた企業は、合わせて85.4%でした。
何を継承する必要があると考えているかは、回答した4,342社すべてに、選択肢から複数を選ぶ形で聞いています(選択肢には「特にない」もあります)。4,342社のうち66.3%が「正確・精緻に作業できる技」を、65.2%が「トラブルや突発的なことが起きた時に対応できる力」を挙げました。「正確・精緻に作業できる技」とほぼ同じ割合で、トラブルに対応する力も、引き継ぐものとして挙がっています。当社は、トラブルに対応する力には、何が起きているかを見極めて次の手を決める判断が含まれると考えています。
技能継承を進めるための取り組みも、技能継承が必要と考えている4,262社に、複数回答で聞いています。最も多かったのは「再雇用や勤務延長などにより高年齢者従業員に継続して勤務してもらう」で、54.8%でした。再雇用の期間にも終わりがあります。当社は、企業が再雇用でベテランに働いてもらっている間に、その人の判断の根拠を後任へ残せるかどうかが、技術部門の課題になると考えています。
技術部門で引き継ぎがうまくいかない原因
当社が読んだ上位の記事19本の多くは、引き継ぎが進まない原因として、主に次のことを挙げています。ベテランが後任に教える時間が無いこと、知識を言葉にしにくいこと、後継者が少ないことです。この記事では、それらとは別の見方から、技術部門の判断の根拠の引き継ぎがうまくいかない原因を3つ取り上げます。3つ目は、「教える時間が無い」が生まれる元になる原因です。
1. 残す中身を、作業の手順で選んでいる
マニュアルや動画を作るときは、作業の手順から作り始めることが多くなります。その結果、手順は残っても、なぜその手順や条件にしたのかが残らないことがあります。その場合、後任は手順どおりに進められても、条件を変える必要が出たときに、変えてよいかどうかを判断できません。
2. 伝わったかを確かめる基準が無い
部門が、マニュアルの完成を、引き継ぎの終わりとすることがあります。その場合、後任が同じ種類の判断を下せるかを確かめないまま、ベテランが会社を離れる日を迎えます。
3. 誰が進めるか、何時間使うかが計画に入っていない
引き継ぎを誰が進めるか(課長か、ベテラン本人か)と、ベテランが引き継ぎに何時間使うかが、部門の計画に入っていないことがあります。その場合、ベテランは本業の合間に教えることになります。本業が忙しい時期に教える時間が無くなると、ベテランが会社を離れる日までに、引き継ぎが終わらないことがあります。当社が読んだ19本の多くが挙げる「教える時間が無い」は、引き継ぎが計画に入っていないこの形から生まれることがあります。
技術伝承の進め方|5つの手順
手順1:対象のベテランと後任を決め、残し始める時期を退職か再雇用の終了の日から決める
最初に課長が、部門の技術者のうち、たとえば3年以内に会社を離れる予定のベテランを一覧にします。定年で退職する人と、再雇用の期間を終える人の両方です。そのうえで、そのベテランにしか下せない判断がありそうかを、課長がベテラン本人と一緒に大まかに確かめます。そうした判断がありそうな人を、引き継ぎの対象にします。あわせて、そのベテランの判断を引き継ぐ後任を決めます。
引き継ぎの期限は、そのベテランが会社を離れる日です。定年のあと再雇用で働く人なら、再雇用の終了の日を期限にします。判断の根拠を残し始める時期は、期限から逆に数えて決めます。たとえば、ベテランが本業の合間に判断10件を説明し、後任か課長が判断の記録に書き終えるまでの期間を、半年と見込みます。そのあと、後任が、記録した判断と同じ種類の判断を実際の案件で自分で下し、その根拠を会議で説明します。ベテランの判断の根拠が後任に伝わったかを課長が確かめる(手順4)までの期間も、半年と見込みます。その場合、期限の1年前には残し始める必要があります。次の表の例では、余裕を見て、期限の1年半前に残し始めます。
| 対象のベテラン(例) | 期限=会社を離れる日 | そのベテランにしか下せない判断(例) | 残し始める時期 |
|---|---|---|---|
| Aさん(設計) | 1年半後 | 大型部品の材料と板厚の決め方 | 今月 |
| Bさん(生産技術) | 2年後 | 熱処理の条件の決め方 | 半年後 |
| Cさん(品質) | 3年後 | 検査の合格の基準の決め方 | 1年半後 |
表の人と期限、半年や1年半という長さは、説明のために当社が置いた例です。
手順2:残す中身を、そのベテランが最近下した判断から選ぶ
残す中身は、作業の手順から選ばず、そのベテランが直近1年に下した判断から選びます。判断を拾う材料には、設計審査の議事録、設計変更の記録、不具合の報告書が使えます。設計審査は、設計の内容を、関係する部署の人が集まって確かめる会議です。
課長とベテラン本人で、議事録や報告書に出てくる判断を1件ずつ見ます。そして、同じ判断を部門のほかの技術者でも下せたかを、課長が見立てます。見立てに迷うときは、ほかの技術者に直接聞きます。ほかの技術者では下せなかった判断を、ベテラン1人につき10件ほどを目安に選びます。
手順3:判断ごとに、判断の記録を1枚にまとめる
選んだ判断ごとに、課長がベテランに頼み、30分ほど説明してもらいます。後任か課長が聞き手になり、次の6項目を1枚に書きます。これが判断の記録です。
- 何を決めたか(例:大型部品の板厚を12mmにした)
- ほかに比べた案(例:10mmと16mm)
- 決めた案を選んだ理由(例:12mmなら変形が出ず、重さも上限に収まる。10mmでは過去に同じ形の部品で変形が出た。16mmでは重さが上限を超えた)
- 前提にした条件(例:使う温度の上限、荷重、加工する設備)
- 関係する過去の不具合と対策
- 条件が変わったら見直す点(例:使う温度の上限が上がったら、板厚を見直す)
6項目の例は、説明のために当社が置いた仮の例です。書いた判断の記録は、ベテランが読み、自分の説明と違う所を直します。
判断の記録は、後任が次に同じ種類の判断をするときに開く場所に置きます。たとえば、設計の基準書の該当する節や、部品ごとの設計の記録の中です。別の場所に置くと、後任が判断の記録に気づかないことがあります。
手順4:伝わったかを、後任が同じ種類の判断を説明できるかで確かめる
伝わったかどうかは、期限(ベテランが会社を離れる日)の前に開かれる会議で、後任が同じ種類の判断を、根拠と一緒に説明できたかで決めます。説明するのは、その会議で扱う実際の案件で、後任が下した判断です(たとえば、新しい部品の板厚の決め方)。会議は、判断の種類に合わせて選びます。たとえば、板厚の決め方なら設計審査、熱処理の条件なら工程の審査(工程の条件を関係する部署で確かめる会議)、検査の合格の基準なら品質の会議です。
ベテランは、説明する側ではなく、質問する側に座ります。後任が判断の記録の6項目にそって説明でき、ベテランの質問に答えられたら、課長が「伝わった」と決めます。答えられなかった点は、後任がベテランに聞いて判断の記録に書き足し、次の会議で課長がもう一度確かめます。
手順5:部門の計画に入れ、ベテランの時間を工数として取る
引き継ぎの作業は、部門の年度の計画に、ほかの業務と同じように入れます。進める責任者は、ベテランの上司の課長にします。ベテランの時間は、手順3と手順4にかかる時間を見積もり、工数(作業にかける時間)として取ります。
たとえば、1つの判断につき、ベテランの時間は2時間ほどです。内訳は、説明に30分、判断の記録を読んで直すのに30分、後任が説明する会議への同席に1時間です。判断が10件なら20時間ほどです。これを、手順1の例で見込んだ作業の期間の1年(説明と記録に半年、後任が会議で説明して確かめるのに半年)に分けて、計画に入れます。時間の数字は、説明のための例です。
計画に入れた工数は、部門の年度の計画で、本業の工数と同じ表に並びます。この表は、課長と部長が決めます。本業が忙しくなって引き継ぎの時間を削るときは、この表の工数を変えることになります。そのため、削るかどうかは、ベテラン本人ではなく、表を決めた課長と部長が判断することになります。
道具の選び方|マニュアル・動画・データベース・AI
道具は、残す中身が決まってから選びます。残す中身ごとに、合う残し方と道具が違います。
| 残す中身 | 合う残し方と道具 |
|---|---|
| 作業の手順、手の動き | 動画、写真つきの手順書 |
| 判断の根拠 | 判断の記録(手順3の1枚)。表計算のファイルでも始められる |
| 過去の案件、不具合と対策 | 条件で探せる一覧やデータベース |
設計の基準書・仕様書・報告書など、すでにある量の多い文書から探すときは、文書を横断して探せるAIの検索も使えます。AIの検索を使うと、うろ覚えの言葉からでも関係する箇所を探しやすくなることがあります。ただし、文書の整理や、AIへの聞き方の工夫が要ります。また、判断の根拠がどこにも書かれていなければ、AIの検索でも見つかりません。先に判断の記録を作ってから、探しやすくする道具を選びます。
過去の事例を探せる形にする2つの取り組み
次の2つは、技術の引き継ぎを目的にした取り組みではありません。ただ、2つとも、過去の事例(トラブルや似た案件)を、それを使う人が、使う場面で探せるようにするための取り組みです(取り組み2は試作の段階です)。この点で、判断の記録を、後任が次に同じ種類の判断をするときに開く場所に置く考え方(手順3)と通じます。
取り組み1:プラントのトラブル事例を、建設の現場から探せるようにした
日揮グループで海外の事業を担う日揮グローバルには、プラントの電気と計測・制御の設備(電気計装システム)を扱う部があります。その部の中で計装を担当するグループ(以下、計装グループ)は、設計・調達・建設の各段階で起きたトラブル事例を、データベースに集めてきました。過去の事例を見て、同じ失敗をくり返さないためです。
同社は2023年8月に、ジャストシステムのデータベースの製品の利用を始めました。それまでのシステムにあった数十年分の事例を、約1年かけて新しいデータベースに移し、そのうえで正式な運用を始めています。ここまでの2つの段落は、TechTargetジャパンの2026年7月30日の記事によります。この取り組みは、製品を販売するジャストシステムが、2026年7月28日に発表しました。IT Leadersも、2026年8月3日に報じています。
2つの記事によると、このデータベースは、横浜本社にある計装グループの約80人が使っています。世界各地の設計の拠点や建設の現場に駐在する日揮グローバルの社員も検索できます。建設の現場でトラブルが起きたら、その場で似た過去の事例を探し、対応のしかたを確かめられます。日揮グローバルは、現場で気づいたことを、ボタン1つで計装グループの全員に知らせる機能も加えました。正式な運用を始めてから1年間で、この機能から約30件の報告が新たに登録されています。
取り組み2:参考にする過去の案件を、営業の担当者が持つ情報で探せるかを試した
当社が2025年に支援した産業機械のエンジニアリング会社は、見積・提案・設計を、条件の近い過去の案件を探して進めていました。過去の案件の書類のうち、今回の案件と違う所だけを直す形です。当社は、設備の種類が違う3つの部署の業務を、担当者への聞き取りをもとに整理しました。3つの部署に共通する課題は、参考にする過去の案件を探して使うのに時間がかかることでした。
水処理の設備を扱う部署の聞き取りでは、見積のための3つの書類を作るのに、新しい担当者は1日、ベテランの担当者は半日かかっていました。この部署では、フロー図(設備のつながりを描いた図)を、毎回、過去の案件の図をコピーして作っていました。担当者からは、参考にする過去の案件の図面を探しやすくして、新しい担当者でも図面を効率よく作れる仕組みが要る、という声もありました。
見積の最初に顧客と話すのは、営業の担当者です。営業の担当者が早い段階で参考の案件を見つけられれば、設計の担当者は、参考の案件と違う所の検討から始められます。熱を利用する設備を扱う部署では、参考にできる過去の案件が見つからないと、提案と見積の作業に、見つかった場合の倍ほどの時間がかかっていました。そこで当社は、まずこの部署で、過去の数十件の案件を整理し、それを探す仕組みを表計算のファイルで試作しました。試作では、営業の担当者が手に入れられる情報で、参考の案件を見つけられるかを特に確かめました。実際の6つの案件を例に試すと、そのうち5つの案件で、参考に適した過去の案件が見つかりました。
この部署では、まず簡単な提案と見積を出し、そのあと詳しい見積を出します。当社は、この仕組みを使えば、試作した部署で、この2段階の見積を出し終えるまでの作業時間を、今より約46%減らせる見込みと試算しました。この作業時間には、詳しい見積の段階で顧客の現場を見に行く調査の時間を含めていません。試算は、作業ごとの見込みを合わせたものです。たとえば、聞き取りでは、詳しい見積書づくりに1件あたり平均8時間ほどかかり、そのうち4時間ほどが制御の依頼書づくりでした。過去の似た案件の依頼書を使い回して、この4時間ほどを半分にできれば、詳しい見積書づくりは8時間から6時間に減る見込みです。ほかの作業でも、過去の見積や図面を使い回して減らせる見込みを立てました。約46%は、実際に測った値ではなく見込みです。支援先の会社は、当社の支援の最終報告の時点では、この仕組みを本格的には導入していませんでした。
2つの取り組みでは、探すときの手がかりが違います。取り組み1では、現場で起きたトラブルの内容から探します。取り組み2では、営業の担当者が手に入れられる情報から探せるかを試しました。当社は、どの過去の事例を見ればよいかを知っていることも、判断の根拠と並ぶ、ベテランが持つ知識の1つだと考えています。2つの取り組みは、当社から見ると、この知識を、ベテランに聞かなくても手がかりから引き出せるようにする取り組みです。そのため、判断の記録と合わせて、過去の事例を後任が探せる形にしておくことを勧めます。
まとめ
技術部門の技術伝承では、設計の値や工程の条件を決めた判断の根拠を、ベテランの退職か再雇用の終了の前に、後任へ残す必要があります。当社は、作業の手順を残すマニュアルや動画だけでは、判断の根拠は残りにくいと考えています。
- 引き継ぎの対象にするベテランと後任を決め、残し始める時期を、ベテランが会社を離れる日(退職か再雇用の終了の日)から逆に数えて決める。残す中身は、そのベテランが最近下した判断のうち、ほかの人では下せなかったものから選ぶ
- 判断ごとに、決めたこと・比べた案・選んだ理由・前提の条件・過去の不具合と対策・見直す点の6項目を判断の記録に書き、後任が同じ種類の判断をするときに開く場所に置く
- 伝わったかは、ベテランの退職か再雇用の終了の前に、後任が同じ種類の判断を会議で根拠と一緒に説明できたかで確かめる。ベテランの時間は、部門の計画に工数で入れる
株式会社Labz.は、製造業の技術部門の外部参謀(社外から、技術に関わる判断を一緒に考える相談役)として、技術に関わるテーマの判断を部長・課長と一緒に進めています。当社は、検討のための試作や検証は行いますが、マニュアルやデータベースの道具の販売や、本格的な導入の請負は行っていません。道具を入れない選択も含めて、どの判断の根拠を残すかを決めるところから、一緒に整理できます。技術伝承の対象の選び方や、判断の記録の項目にお悩みの方は、お問い合わせからご相談ください。
いま止まっているテーマは、ありますか。
初回は、相談したいテーマと現状のお悩み、テーマの推進に掛けられる予算規模の2つを一緒に確認します。「まだ相談する段階か分からない」という状態でも構いません。
