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「良い技術はあるのに、提案にすると刺さらない」を抜け出すサービス企画・提案の型-技術を"顧客と一緒に描く"提案に変えた事例

公開 2026-07-12

渾身の提案書を作り込んだ。機能も、実績も、きれいに並べた。なのに相手は「すごいですね」で終わり、話が、そこから一歩も進まない。「で、うちの何が解決するの?」「本当に効果あるの?」「まず何から?」と問われて、言葉に詰まる――。技術は自信があるのに、"提案"になると刺さらない。そんな苦い経験は、ありませんか。

これは、私たちLabz.がご支援した、独自の対話AI技術を持つ、ある開発会社の話です。同社は、その優れた技術を新しいサービスにして、ある企業(住まい・くらしに関わるサービス企業)の「コールセンターの入電が多すぎる」という悩みに応えようとしていました。技術力は十分。けれど、「どう提案すれば、相手が"やろう"と言えるのか」が、描けずにいました。私たちがお手伝いしたのは、このサービス企画・提案そのものの組み立てです。

先に、結論をお伝えします。突破口になったのは、機能をアピールすることでも、精度を誇ることでもありません。完成した提案書を持ち込むのをやめ、要所に"問い(ご確認事項)"を置いて、相手と一緒に論点を埋めていく進め方に組み替えたこと。そしてその結果、同社が手にしたのは提案書1枚ではなく、案件ごとに作り直さなくていい"提案の型"でした。この進め方は、対話AIに限りません。自社の技術や強みを、新しいサービスとして提案したいすべての会社に、同じ形で効きます。

※本記事は、実際のご支援事例をもとにしていますが、クライアント企業の特定につながる情報(社名・サービス名・自社技術の固有名・提案先や他社事例など)はすべて伏せ、要点を一般化して構成しています。

支援前の状況-技術を持つ会社が、つい陥る「独りよがりの提案」

最初にお話を伺ったときの状況は、優れた技術を持つ会社が新規サービスを売り込むときに、ありがちなつまずきでした。

  • 技術には、自信がある。「なんでも自動で答えます」と言えるAIを持っている。だから、つい機能の説明から入ってしまう。

  • けれど、それだと相手の"知りたいこと"とズレる。相手が本当に気にしているのは、「うちのどの負担が、いくら減るのか」「他社のチャットボットと何が違うのか」「失敗したらどうするのか」。技術の話と、相手の関心が噛み合わない。

  • そして、提案が一方通行になりがちです。完成度の高い資料を作り込むほど、相手は「すごいですね」で終わり、自分の情報(現場の実態やデータの状況)を開いてくれない。結果、話が具体に進まない。

つまり課題は、技術力ではありませんでした。「相手が、自分ごととして考え、情報を開き、"やろう"と言える提案の"形"」が無かったこと。私たちは、そこから設計しました。

当社のアプローチ-"完成品"ではなく"問い"を持ち込む

私たちがやったのは、立派な提案書を仕上げることではなく、「相手が自分から動きたくなる、提案の進め方」を設計することでした。柱は、次の4つです。

① 相手の"負荷"を起点に、スコープ(取り組む範囲)を決める

自社の技術から入るのではなく、相手がいちばん困っている「負荷」から入ります。コールセンターへの入電を、内容の領域ごと(退去・契約・家賃・水回り・設備……)に分解し、どこの割合がいちばん大きいかを見る。本件では「退去」に関する問い合わせが最も多い領域でした。だから、そこを最初の範囲に据える。つい「全部できます」と言いがちなところを、「まず、いちばん効くここから」と示すことが、話を現実に引き寄せます。

※この"負荷から入る"発想は、業種を問いません。SaaSなら解約が集中する機能、受託開発なら最も工数を食う工程、製造なら不良が集中するライン「自社の売りたいもの」ではなく「相手がいちばん痛いところ」から始める、という点は同じです。

② 効果を、ROI(投資対効果)で先に語る

「便利になります」で終わりがちなところを、狙う効果を数字で先に置きます。本件では、「入電の最大領域のうち、仮に7割を自動で応対できれば、コールセンター全体で1.5〜2割の人手を減らせる」という試算を示しました。

※用語注:ROI(投資対効果)とは、かけたお金や労力に対して、どれだけの効果(ここでは人手やコストの削減)が返ってくるかの見立てのこと。提案の最初に"狙う効果"を数字で置くと、相手は「投資すべきか」を判断できます。

もちろん、これは提案段階の試算です。けれど、「なんとなく良さそう」を「これくらい効くはず」に変えるだけで、議論は一気に具体になります。

③ 差別化を言語化する「汎用FAQでは終わらせない」

ここからが、本当の勝負どころです。対話AIは、いまや競合がひしめく領域。よくある「チャットボット(自動でよくある質問に答える仕組み)」との違いを、はっきり言葉にしないと、価格勝負に巻き込まれます。そこで、差別化を2つに絞って言語化しました。

  • 一人ひとりの事情を、考慮して答える:「最短でいつ退去できるか」「違約金はかかるか」を、その人の契約データと連携して答える。誰にでも同じFAQを返すのではなく、あなたの場合はこうです、と答える。

  • 深掘りの質問に、対応する:「"立ち合い無し"ってどういうこと?」といった、文脈を踏まえた掘り下げに応じる。

「よくある質問への回答 + 一人ひとりのデータの考慮 + 深掘り」。この三層で、有人対応に近い体験をつくる。ここが、汎用のチャットボットには出せない価値でした。

④ 完成品ではなく、"試作"から、まず小さく試す

そして、いきなり本番を作らない。まず2〜3ヶ月で、確認用の画面だけの試作(プロトタイプ)をつくり、「本当に対話が成立するか」を確かめる。うまくいったら、実データとつなぎ、本番へと、段階を切って広げていきます。

※用語注:プロトタイプとは、本番の前に作る"試作版"のこと。小さく作って早く試すことで、大きな投資をする前に、効果とリスクを見極められます。

さらに、「相手側でデータの準備がなくても始められます」「運用(ログの整理など)まで、こちらで引き受けられます」と、相手の不安を先回りして下げる。相手が背負うリスクを一つずつ取り除くことが、"やろう"の一番の後押しになります。

支援の成果-「売り込み」を、「一緒に考える場」に変える設計

この4つを、要所に"問い(ご確認事項)"を置いた一本の流れに組み立てました。すると、提案の"場"そのものが変わります。

  • 一方通行のプレゼンが、双方向の議論になる。「ここは、御社ではどうですか?」という問いを置くことで、相手は「すごいですね」で終わらず、自分たちの実態やデータの状況を話さざるを得なくなる。売り込みが、一緒に設計する場へと変わる設計です。

  • 抽象論が、具体の議論になる。「AIってどうなの?」ではなく、「まず退去から」「効果はこの範囲」「試作はこの形で」と、次に決めるべき論点が並ぶ。

  • 完成イメージが、共有される。「AIで自動化します」ではなく、実際の対話の流れ(退去の相談→データを見て回答→申し込みへ誘導)を具体的に描いて見せることで、相手は完成形をありありとイメージできます。

そして、この事例でいちばん大事なのは――私たちが同社に残したのが、提案書1枚ではなかったことです。残したのは、"問いで組み立てる提案の型"。相手の負荷から入り、効果を数字で置き、差別化を言葉にし、試作から段階展開する――この一連の流れは、次の見込み客に対しても、そのまま引き直せます。特定の営業担当のカンに頼らず、誰でも同じ品質で提案を組み立てられる。提案書を1枚書いて去るのではなく、"提案の作り方そのもの"を、同社の手の中に残したのです。

※用語注:この事例は、サービスを企画し、提案の型を組み立てる「企画・提案」の段階です。ここで固めた進め方をもとに、試作から段階的に開発へと進みます。私たちは、その先にも伴走します。

この事例と「共通地図」-提案とは、"相手と一緒に描く地図"である

改めて振り返ると、私たちがやったことの本質は、優れた技術を売り込んだことではありません。「この技術で、誰の・どの負担を・どう解決し、いくら効いて、何から始めるのか」という問いに分解し、それを"相手と一緒に埋めていける形"に組み替えたこと。そして、その組み立て方を、一回きりの提案書ではなく、繰り返し使える"型"として、ご支援先(対話AI開発会社)の手に残したこと。この一連が、価値でした。

ここが、私たちの事業「共通地図」の芯です。コンサルの多くは、立派な提案書や結論を"渡して去り"、やり方は社内に残りません。私たちが目指すのは逆で、答えそのものよりも、"答えの出し方"を、貴社が繰り返し引き直せる資産として残すこと。今回で言えば、"問いで組み立てる提案の型"が、その資産にあたります。

※用語注:PMO(Project Management Office)は、プロジェクトの進捗・課題・リソースを管理・支援する役割・組織。実行の管理は得意な一方、「そもそもどこを目指すか」の構想は担いにくい立場です。経営コンサルとPMO、その"間"に空いた白地が、私たちの立ち位置です。

正直に、段階もお伝えします。この事例で私たちが使ったのは、論点の設計と共創の進め方であって、分析を生成AIで回したわけではありません(対話AIは、あくまでご支援先が届ける製品のほうです)。ただ、今回残した"提案の型"のように、「属人化させず、誰でも引き直せる資産にする」というのが、私たちの一貫した狙いです。共通地図がこの先で掛け合わせるもう一つの脚は、その"型"を、前提が変わっても誰でも引き直せるよう、生成AIで支えること。「魚を渡す」のではなく、「魚の釣り方の地図を、AIで描いて渡す」。その方向に進んでいます。

そして大事なのは、この進め方が"提案"に限らないこと。事業戦略、新規事業、業務改革、生成AIの導入――「何から手をつければいいか分からない」上流のテーマであれば、同じ形で効きます。

まとめ-サービス企画・提案は、"問い"を相手と分け合うことから

自社の技術がサービスとして売れないとき、私たちはつい「もっと機能を」「もっと精度を」と考えます。けれど、この事例が示しているのは、壁の正体は技術力の不足ではなく、"提案が独りよがりで、相手が自分ごとにできていないこと"だ、ということです。

  • 相手の"負荷"から入り、効果を数字(ROI)で先に置く。売りたいものではなく、相手の痛いところと数字から始める。

  • 差別化を言葉にする。「汎用FAQでは終わらせない」何を、一言で言い切る。

  • 完成品ではなく"問い"を持ち込み、まず小さく試す。相手が情報を開き、一緒に描ける場にする。

「良い技術はあるのに、提案にすると刺さらない」。もしそう感じているなら、足りないのは機能でも精度でもなく、相手と一緒に描く、一枚の地図なのかもしれません。

「うちの技術も、"提案"にするとうまく伝わらない」-もしそう感じられたら、下記より、まずは30分お聞かせください。売り込みではなく、"どこに霧がかかっているのか"を、一緒に見立てるところから始めます。株式会社Labz.の「共通地図」は、答えのない上流テーマの推進を、論点の設計から、生成AIで再現できる"型"づくりまで一緒に走り、貴社の手に残るまで伴走するサービスです。

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