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株式会社Labz.
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地図は、歩いた人にしか描けない。プロジェクトにも「伊能忠敬」が必要だ!!

  • 執筆者の写真: Daisuke Wakui
    Daisuke Wakui
  • 6月14日
  • 読了時間: 6分
プロジェクトの地図作り

なぜ、プロジェクトは迷走するのか

プロジェクトは、なぜ迷走するのか。

人が足りないから。 会議が少ないから。 タスク管理が甘いから。

もちろん、それらも要因にはなります。

しかし、多くの現場で本当に起きている問題は、もっと根深いものです。

同じプロジェクトに関わっているはずなのに、全員が同じ地図を見ていない。

経営は「全社変革」だと思っている。 部門長は「業務改善」だと思っている。 現場は「また新しいツールが増える」と感じている。 外部パートナーは「要件定義」だと思っている。 プロジェクト担当者は、毎週の会議調整で手一杯になっている。

一人ひとりは真剣に進めている。 でも、見ている地図が違う。

だから、会議を重ねても前に進まない。 資料を作っても意思決定につながらない。 タスクを消化しても、プロジェクトの現在地が分からない。

伊能忠敬は、完璧な地図から始めたわけではない

この問題を考えるとき、私は伊能忠敬の地図作りを思い出します。

伊能忠敬は、1800年から1816年までの17年間、10次にわたって全国を測量し、その成果は死後の1821年に『大日本沿海輿地全図』として幕府に上呈されました。国土地理院も、忠敬が20年近く日本各地を歩き続け、その距離は地球をひとまわりする以上だったと紹介しています。

ここで重要なのは、伊能忠敬が「最初から完璧な地図を持っていた」わけではないということです。

彼は歩いた。 測った。 記録した。 つなぎ合わせた。 そして、地図の精度を上げていった。

地図は、机の上で完成したのではありません。 現地を歩くことで、少しずつ精緻化されていったのです。

事業計画は「完成された地図」ではなく、仮説である

プロジェクトも同じではないでしょうか。

最初に作る事業計画やロードマップは、完成された地図ではありません。 それは、あくまで仮説です。

本当に顧客は困っているのか。 現場の業務はどう流れているのか。 どの論点が最も重要なのか。 何を検証すれば、次の意思決定に進めるのか。 どの会議で、誰が、何を決めるべきなのか。

これらは、プロジェクトを進める中でしか分かりません。

タスクとは「作業」ではなく「測量」である

つまり、タスクとは単なる作業ではない。 タスクとは、プロジェクトの現在地を測るための“測量”です。

顧客ヒアリングは測量です。 PoCは測量です。 会議で出た違和感も測量です。 現場から上がってきた反論も測量です。 失敗した検証も、地図を正確にするための重要な測量です。

にもかかわらず、多くのプロジェクトでは、タスクが「作業リスト」として扱われています。

完了したか。 遅れていないか。 担当者は誰か。

もちろん、それも大切です。

しかし本来問うべきなのは、こうです。

このタスクによって、どの仮説が更新されたのか。 どの論点の解像度が上がったのか。 次の意思決定に近づいたのか。 地図のどこが、より正確になったのか。

「測量」という視点が、進め方を変える

ここが変わると、プロジェクトの進め方は大きく変わります。

会議は、報告の場ではなくなります。 地図を更新する場になります。

議事録は、記録のための文書ではなくなります。 測量結果を残すログになります。

タスク管理は、進捗監視ではなくなります。 仮説検証の設計になります。

プロジェクトマネージャーは、作業を追い立てる人ではなくなります。 全員が同じ地図を見られるようにする、現代の測量士になります。

立場が違えば、見るべき「縮尺」も違う

伊能図には、大図・中図・小図という複数の縮尺がありました。国立国会図書館によれば、文政4年に幕府へ献上された『大日本沿海輿地全図』は、大図214図、中図8図、小図3図で構成されていました。

これも、プロジェクトに置き換えると示唆的です。

経営には、全体像が必要です。 部門長には、論点と意思決定の流れが必要です。 現場には、明日やるべき検証タスクが必要です。

同じプロジェクトでも、見るべき縮尺は立場によって違う。

だからこそ、プロジェクトには「1枚の地図」が必要です。 ただし、それは全員に同じ粒度の情報を押し付けるものではありません。

経営が見る地図。 PMが見る地図。 現場が見る地図。

それらが分断されず、同じ構造の上でつながっていることが重要です。

良い地図には、「空白」がある

さらに、伊能図の面白いところは、正確だからこそ空白があることです。国立国会図書館は、伊能大図に残る空白部について、忠敬の測量が海岸線と主要街道沿いに限られたための未測量部分だと説明しています。

これは、プロジェクトの地図にも必要な態度です。

良い地図は、分からないことを無理に埋めません。 分かっていることと、まだ測れていないことを分けます。

決定事項。 仮説。 未検証の論点。 保留している意思決定。 次に測るべき場所。

これらが区別されているから、チームは迷わず進めます。

逆に、悪い地図は、すべてを分かったように見せます。

きれいな資料。 もっともらしいロードマップ。 抜け漏れなく並んだタスク表。 しかし、その中に「まだ測れていない場所」が明示されていない。

それでは、チームは知らないうちに未測量の土地を走ることになります。

Labzがつくる「プロジェクトの共有地図」

Labzが目指しているのは、プロジェクトのための共有地図です。

ゴール。 論点。 仮説。 会議計画。 検証タスク。

それらを、関係者全員が見える形にする。 そして、プロジェクトが進むたびに更新していく。

Labzの事業戦略でも、サービスはプロジェクトの「ゴール構想〜ゴールまでの経緯」を、論点・仮説・会議計画・検証タスクの体系として1枚の地図にするものと定義されています。さらに併走支援では、週次会議・議事録・タスク検証を地図の更新と一体化し、「地図を見ないと会議が始まらない」状態をつくることが、重要な成功要因とされています。

これは、単なるプロジェクト管理ではありません。

人の頭の中に閉じていた道筋を、チームの共有資産にすることです。

誰か一人の経験や勘に依存していた進め方を、組織で再現できる仕組みに変えることです。

コンサルに任せて終わるのではなく、プロジェクトの考え方そのものを社内に残すことです。

実際、チームの共通理解は成果にも関係します。チーム認知に関するメタ分析では、チームの認知が行動プロセス、モチベーション状態、チームパフォーマンスと正の関係を持つことが報告されています。

必要なのは、もっと多くの会議ではない

プロジェクトに必要なのは、もっと多くの会議ではないかもしれません。 もっと細かい進捗管理でもないかもしれません。 もっと優秀な誰かに丸投げすることでもないかもしれません。

必要なのは、全員が見られる地図です。

そして、その地図を更新し続ける習慣です。

伊能忠敬の地図が、歩きながら精緻化されたように。 プロジェクトの地図も、実行しながら精緻化されていく。

タスクを実行するたびに、現在地が見える。 会議をするたびに、論点が整理される。 検証するたびに、仮説が更新される。 意思決定するたびに、次の道筋が明確になる。

そんな状態をつくることができれば、プロジェクトはもっと確実に前へ進めるはずです。

地図は、歩いた人にしか描けない

地図は、歩いた人にしか描けない。

だからこそ、プロジェクトにも必要なのです。

机上で完璧な答えを出す人ではなく、 チームと一緒に測り、記録し、更新し続ける仕組みが。

あなたのプロジェクトでは、最後に地図が更新されたのはいつですか。

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