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株式会社Labz.
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プロセステクノロジーを用いた経営コンサルティングの形式知化

  • 執筆者の写真: Daisuke Wakui
    Daisuke Wakui
  • 2月11日
  • 読了時間: 11分

はじめに:なぜ経営コンサルティングは「属人的」なままなのか

「コンサルタントによって品質が全然違う」「前回と同じレベルの支援が受けられない」——こうした声は、経営コンサルティングを活用したことのある企業であれば、一度は感じたことがあるのではないでしょうか。

経営コンサルティングは、高度な知的サービスであるがゆえに、その進め方やノウハウの多くが個々のコンサルタントの「暗黙知」に依存しています。優秀なコンサルタントほど、自身の経験と直感に基づいて素早くプロジェクトを進めますが、その思考プロセスは言語化されず、組織として蓄積されにくいという構造的な課題を抱えています。

本記事では、製造業における暗黙知の形式知化で実績を持つSOLIZE(旧インクス)の「プロセステクノロジー」が、いかにして経営コンサルティングの世界に応用できるのか。そして、それがクライアント企業にとってどのような価値をもたらすのかをお伝えします。


経営コンサルティングの形式知化
Labz.が目指す経営コンサルティングの形式知化

そもそも「暗黙知の形式知化」とは何か

暗黙知とは、個人の経験や勘に基づく知識のことです。熟練の職人が「手の感覚で分かる」と表現するような、言葉やマニュアルでは伝えきれない知識がこれに当たります。

一方の形式知とは、文書やデータ、手順書など、誰でも理解・再現できる形に整理された知識を指します。

暗黙知の形式知化とは、この「個人の頭の中にしかない知識」を分析・構造化し、組織として共有・活用できる状態に変換するプロセスです。

SOLIZEのプロセステクノロジー:「1Process-1Decision」という発想

SOLIZEが開発したプロセステクノロジーは、暗黙知の形式知化を極限まで突き詰めた技術です。その核心にあるのが、「1Process-1Decision」という考え方です。

これは、人間が業務の中で行うあらゆる判断を、「1つのプロセスにつき1つの判断」という最小単位にまで分解するというアプローチです。たとえ一瞬の出来事であっても、人間が脳内で何らかの判断を下しているならば、それは1つのプロセスとして定義されます。

たとえば、製造現場で機械のボタンを押すという単純に見える動作。しかし、その裏では「今このボタンを押すべきか否か」という判断が必ず行われています。この判断を分解していくと、以下のような要素が見えてきます。

プロセスを丸裸にする5つのステップ

ステップ1

判断項目の特定その判断を下すために、何を確認しているのかを洗い出します。先ほどの例で言えば、「機械の表示灯は何色か」「材料が問題なくセットされているか」「異音はしていないか」——熟練者が無意識に確認しているこうした項目を、一つひとつ明らかにします。

ステップ2

判断基準の明文化各判断項目に対して、どのような状態なら良く、どのような状態なら悪いのか。その基準を言語化します。「表示灯が青なら問題なし、赤なら危険」「異音が○○デシベル以上なら停止」といった具合に、曖昧な「感覚」を明確な基準に変換します。

ステップ3

思考手順の構造化判断項目をどのような順番で確認し、どのようなロジックで最終判断に至るのかという思考の流れを整理します。熟練者は複数の項目を瞬時に総合判断していますが、その順序と優先度には必ずパターンがあります。

ステップ4

判断アウトプットの定義思考の結果、脳内でどのような結論が生成されるのかを明確にします。「危険だから機械を止める」「問題ないので次工程に進む」「微妙なのでもう一度確認する」——判断の結果として生まれる情報を言語化します。

ステップ5

アウトプットの伝達方法とツールの特定その判断結果が、どのような言葉や情報として他者に伝達されるのか。そして、伝達のツールは紙の帳票なのか、システムへの入力なのか、口頭なのか。判断がアクションに変わるまでの最後のプロセスを可視化します。

この5つのステップを、すべての工程に対して徹底的に行います。すると、本人すら無意識で気がつかなかったプロセスが丸裸になり、誰にでも扱える形に変換されるのです。

これがプロセステクノロジーの本質です。一見すると地道でシンプルな作業に見えますが、この徹底した分解と構造化によって、属人的な要素を一切削ぎ落とし、業務フローと支援システムに落とし込むことが可能になります。

経営コンサルティングに潜む「暗黙知」の正体

では、このプロセステクノロジーの視点で経営コンサルティングを見ると、何が見えてくるのでしょうか。

実は、コンサルタントの仕事も「判断の連鎖」で構成されています。一見、高度で複雑に見える知的作業も、分解すれば一つひとつの「1Process-1Decision」の積み重ねに他なりません。

論点設計における暗黙知

優秀なコンサルタントは、クライアントの課題を聞いた瞬間に「何を明らかにすべきか」を直感的に構造化できます。大論点からサブ論点へ、さらにサブサブ論点へとMECEに分解する。この思考プロセスは、BCGをはじめとする戦略コンサルティングファームで日常的に行われていますが、その「筋の良い論点の立て方」は体系的に教えられることが少なく、OJTと個人の試行錯誤に委ねられています。

しかし、プロセステクノロジーの視点で分解すれば、論点設計にも明確な「判断項目」「判断基準」「思考手順」が存在するはずです。たとえば、「クライアントの業界構造はどうか」「競合との差別化ポイントはどこか」「時間軸はどの程度か」——こうした判断項目を、どのような順序で、どのような基準で評価し、最終的にどのような論点構造をアウトプットするのか。これらを5つのステップで明文化すれば、論点設計は再現可能なプロセスに変わります。

仮説構築における暗黙知

論点が設計されたら、次は各論点に対する仮説を立てます。「おそらくこうだろう」という初期仮説の精度が、プロジェクトのスピードと品質を大きく左右します。しかし、なぜその仮説が妥当なのか、どのような情報源や過去の経験から導かれたのかは、多くの場合コンサルタント本人にしか説明できません。

ここにも「1Process-1Decision」は適用できます。仮説を立てる際に参照している情報(判断項目)、仮説の筋が良いかどうかを見極める感覚(判断基準)、複数の仮説候補からどう絞り込むか(思考手順)——これらを分解・言語化することで、仮説構築のプロセスも属人性を排除できます。

タスク設計とリソース配分における暗黙知

仮説を検証するために何をすべきか、誰がやるべきか、どのくらいの時間がかかるか。こうしたプロジェクト運営に関する判断も、経験豊富なマネージャーの暗黙知に強く依存しています。結果として、同じテーマのプロジェクトでもマネージャーによって進め方が大きく異なり、品質やコストにばらつきが生じます。

タスクの粒度をどう決めるか、そのタスクは人間がやるべきかAIに任せるべきか——こうした一つひとつの判断にも、明確にすべき判断項目と判断基準があります。

プロセステクノロジーを経営コンサルティングに実装する

当社Labz.の創業者は、SOLIZEで製造業向けの暗黙知の形式知化を経験した後、BCG(ボストンコンサルティンググループ)で戦略コンサルティングに従事しました。

SOLIZEでは、熟練者の判断プロセスを「1Process-1Decision」で徹底的に分解する技術を身につけました。BCGでは、論点・仮説思考に基づく戦略コンサルティングの実務を経験しました。この2つのキャリアを通じて確信したのは、製造業の現場で職人の技を丸裸にしたのと同じ方法論で、経営コンサルティングの思考プロセスも丸裸にできるのではないかということです。

コンサルティングプロセスの「1Process-1Decision」化

当社では、コンサルティングプロジェクトのあらゆる判断ポイントを「1Process-1Decision」の単位で分解し、形式知化しています。

たとえば、「この事業の成長戦略をどう描くか」という大きな問いに対して、コンサルタントが脳内で行っている判断を一つひとつ分解します。市場データのどこを見るか(判断項目)、成長率がどの水準なら有望と判断するか(判断基準)、市場→競合→自社の順で分析する(思考手順)、「この市場セグメントに注力すべき」という結論を導く(判断アウトプット)、そしてそれをスライド資料やプロジェクトマネジメントシートに落とし込む(伝達方法・ツール)。

この分解を徹底することで、プロジェクトの全体像が「大論点→サブ論点→サブサブ論点→仮説→タスク」という階層構造として可視化され、すべてをプロジェクトマネジメントシートで一元管理できるようになります。

最適な役割分担の実現

プロセスが「1Process-1Decision」の単位で可視化されると、各タスクの性質が極めて明確になります。すると、「このタスクは高度な判断を伴うから当社コンサルタントが担当すべき」「このタスクは判断基準が明確だからクライアント側で対応可能」「このタスクは情報収集と定型的な分析だから生成AIに任せられる」「このタスクは専門知識が必要だから外部パートナーに依頼すべき」という最適な役割分担が、根拠を持って導き出されます。

従来のコンサルティングでは、コンサルタントがすべてのタスクを抱え込む傾向がありました。それが高額な費用の一因でもあります。プロセスを最小単位まで分解することで、本当に人間のコンサルタントが介在すべき高付加価値な判断業務にリソースを集中させ、情報収集や情報整理などの労働集約的な業務はAIに委ねることが可能になるのです。

生成AIとの融合が形式知化の価値をさらに高める

形式知化されたプロセスは、生成AIとの相性が極めて良いという特長があります。なぜなら、「1Process-1Decision」で分解されたプロセスは、AIに任せるべきタスクを正確に切り出す「設計図」として機能するからです。

暗黙知のままでは「なんとなくAIを使ってみた」で終わりますが、プロセスが構造化されていれば、「この判断項目の情報収集はAIが担当」「この判断基準に基づく一次スクリーニングはAIが実行」「最終判断は人間が行う」という明確な設計が可能になります。

当社では、コンサルティング知見を生成AIに組み込んだ独自ツールを開発し、2022年のChatGPTローンチ以降、段階的にAI活用の範囲を拡大してきました。Google検索の自動化から始まり、文書検索・分析の自動化、業務分析の自動化、新規事業企画の自動化、リサーチのデータベース化、そして経営コンサルAIエージェントへと進化を続けています。

この進化も、プロセステクノロジーの思想に基づいています。まず、コンサルティング業務全体を「1Process-1Decision」で分解し、その中からAIが代替可能なプロセスを特定し、一つずつ自動化していく。こうした積み上げ型のアプローチだからこそ、着実に、そして再現性を持ってAI活用を拡大できるのです。

形式知化がクライアントにもたらす3つの価値

1. コストの最適化

プロセスが最小単位まで透明化され、AIとの適切な役割分担が実現することで、従来のコンサルティングと比較して30〜40%程度のコスト削減が可能です。これは品質を落とした結果ではなく、「1Process-1Decision」の分解によって無駄なプロセスを排除し、リソースを最適配置した結果です。

2. ノウハウの内製化

従来のコンサルティングでは、プロジェクトが終了するとノウハウはコンサルタントと共に去っていきました。しかし、「1Process-1Decision」で形式知化されたプロセスは、クライアント企業の中に残ります。

論点の立て方、仮説の検証方法、タスクの設計と管理方法——これらが判断項目・判断基準・思考手順として明文化されているため、コンサルタントがいなくなった後も、クライアント企業自身がそのプロセスを再現し、改善し続けることができます。

3. プロジェクトの再現性

形式知化されたプロセスは、次のプロジェクトにも応用できます。一度「1Process-1Decision」で体系化された「戦略策定の進め方」や「新規事業立ち上げのフレームワーク」は、テーマが変わっても基本構造は共通しています。プロジェクトを重ねるごとに、クライアント企業のプロジェクト推進力が高まっていく——これが形式知化の最大の価値です。

実際の活用事例

当社では、この形式知化されたコンサルティングアプローチを、幅広い業界・テーマで提供しています。

大手消費財メーカーの中期成長戦略策定では、プロジェクトマネージャーとして壁打ち・調査・資料作成を支援しました。大手生命保険会社では生成AIを活用したDX戦略の策定を、大手損害保険会社では支払い査定業務の自動化や経営報告レポートの自動化を支援しています。また、中小物流会社や中堅造船会社では、SaaSの企画から開発、営業までを一貫して支援するなど、戦略策定から実行支援まで幅広いプロジェクトに対応しています。

いずれの案件でも共通しているのは、プロジェクトの論点設計から始め、コンサルティングプロセスを「1Process-1Decision」の思想で可視化した上で、最適なリソース配分を実現しているという点です。

おわりに:「コンサルティングのブラックボックス」を開く

経営コンサルティングは長らく「ブラックボックス」でした。高い費用を払っても、何にどれだけのリソースが使われているのか見えない。プロジェクトが終わっても、ノウハウが社内に残らない。そうした不満は、コンサルティングプロセスが暗黙知に依存していることに根本原因があります。

SOLIZEのプロセステクノロジーは、製造業の現場で熟練者が無意識に行っていた判断を「1Process-1Decision」の最小単位で丸裸にし、誰にでも扱えるものに変えてきました。本人すら気づいていなかったプロセスを一つひとつ可視化し、業務フローとシステムに落とし込む。このシンプルだが強力なアプローチは、経営コンサルティングという知的サービスにおいても、まったく同じ力を発揮します。

当社Labz.は、BCGで培った論点・仮説思考と、SOLIZEで培ったプロセステクノロジーを融合させることで、「経営コンサルティングの形式知化」を実現しています。デジタルテクノロジーを活用した費用対効果の高いコンサルティングサービス——その土台にあるのは、一見地味に見える「判断の分解」の徹底です。

プロジェクトの進め方にお悩みの方、コンサルティング費用の最適化をお考えの方、そしてプロジェクト推進のノウハウを自社に蓄積したいとお考えの方は、ぜひ一度お問い合わせください。


お問い合わせページ👇 https://www.labz-inc.com/contact

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